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WISTORY 管理人日記/恐るべき「茶」の魔力・・・はたして「ワイン」の魔力は?

管理人コラム

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恐るべき「茶」の魔力・・・はたして「ワイン」の魔力は?

2016-01-22

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しばらくこのコラムを書いていなかった。書きたい事がなかったのだ。イマイチ盛り上がりに欠けた年末年始のワイン。そして、発信される色々なワイン関連のニュースを見ても、ピンと来るものが無かった。

というワケで、今回は今読んでいる『茶文化学』主編:徐暁村(シュー・シャオツン)から知り得た「茶」の、それも、中国から海外への「茶」の伝播に関わる驚きに触れてみたいと思う。

■ 何故そんなに「茶」が広まったか、不思議に思いませんか?

私は物心ついた時には既に生活の中にお茶があり、何故お茶を飲むのかなんて考えたこともなかった。多くの日本人は私と同じ感覚だと思う。(しかし、もう随分前に、私と同い年の人が、家では水とコーヒーしか飲まないと言っていた)

しかし、日本だって、庶民が日常的にお茶を飲むようになったのはそんなに古いことではない。大正末期から昭和初期の事だそうだ。但し、日本にお茶が伝わったのは、9世紀のことで、永忠や最澄が中国に留学して茶の種を持ち帰った時と言われている。その後、20世紀になるまで「茶」は特権階級やお金持ちの飲み物だったワケだ。

インドなどで飲まれる「チャイ」も、英国などで飲まれる「ティ(紅茶)」も源を辿れば中国なのだ。「チャイ」にしても「ティ」にしても、それぞれの国では極めて日常的に当たり前のように飲まれているが、それほど多くの人々を魅了する「茶」とは一体何なんだろうか? もちろんコーヒーにも同じような事が言える。

単に渇きを癒したり体を温めるだけなら水や白湯でいいわけで、それ以上のプラスα、例えば気分が落ち着くとか、反対に高揚するとか、さっぱりするなど、無意識のうちに気分が良くなる効果が「茶」や「コーヒー」にはあったのだろう。

■ 茶の伝播ルートの中で驚いたのが「茶葉の路」

「茶文化学」で紹介されている中国から外国への茶葉の伝播ルートは大きく分けて4方向ある。

①東向き: 唐・宋の時代の朝鮮半島・日本への伝播
②西向き: シルクロードと茶馬古道を経由した中央アジア・インドへのルート
③北向き: モンゴルからシベリアを経由する「茶葉の路」によるロシア・ヨーロッパへのルート
④南向き: インドシナ半島から海路によるアフリカ・ヨーロッパへのルート

この中の①や④は、結局伝わった先や途中で茶が栽培されるようになるのだが、②や③は中国でできた茶葉の貿易が中心である。中でも③の「茶葉の路」は、その名が表すように「茶」が通商で取り扱われる商品の中核を成していたというところが驚きである。

茶葉の路が形成されたのは17世紀の半ばで、1679年に中露両国が『ネルチンスク条約』を締結し、貿易関係を樹立したことに始まる。当時の中国は清の時代である。但し、最初の頃、茶葉はそれほど重要な商品ではなかった。

その後いろいろあって、1850年には、このルートで中国から輸出される輸出額の75%が茶葉になったというから驚きである。(このルートというのは、北京 → 張家口 → ウランバートル → キャフタ)

キャフタというのはバイカル湖の南、現在のモンゴルとロシアの国境のロシア側にある都市である。キャフタで取引された茶葉は、シベリア地方や最終的にはモスクワまで運ばれたそうだ。私たちが今イメージできるロシアのお茶と言えば、紅茶にジャムを入れて飲むジャムティだが、1850年の頃にはどんな飲み方がされていたのだろうか? まだ調べ切れていなくて私は把握できていない。

ちなみにこのルートでは中国側の貿易黒字がどんどん貯まったという。ロシア側が輸出できるのは毛皮類が中心だったようなので、飲めば消えてしまうお茶と長持ちする毛皮での差が出てしまったのだろうか。

■ 200年足らずでロシアでの市民権を得た「茶」

1679年から1850年まで、約170年である。その間にゼロに等しかった茶葉の対露貿易が、総貿易額の75%を占めるようになるとは、これを「茶」の魔力と言わずして何と言えばいいんだろう? 

ともかくそこまで貿易量が増えたということは、最早お茶がお金持ちだけのものではなくなったことを示している。

そして、「茶葉の路」という国際幹線道路までできてしまったワケだから、その力は大したものではないか。その後、海運が発達することで陸路である「茶葉の路」は運賃が高くつくためにその役割を終えたげれど、この道は現在も幹線道路として残っているようだ。

■ ワインにも「ワインの路」があるの?

当然そんな疑問が湧いてくる。そこで私は『ワインで考えるグローバリゼーション』という本を読むことにした。読んだらまたここで紹介したいと思う。




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