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WISTORY 管理人日記/カオールを久しぶりに飲んで

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カオールを久しぶりに飲んで

2015-10-09

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1980年代、安くて旨い赤ワインと言えば「カオール(Cahors)」だった。今でこそ、世界中から比較的安くて旨いワインが日本に入ってくるが、当時はそれほど種類が多くなかった気がする。

■ カオールは何処?

地図でいうと、ボルドーのある大西洋側から斜め右に直線を下ろして地中海まで線を引くとしよう。その線の大西洋と地中海の丁度真ん中あたりにカオールはある。だから、カオールは大西洋と地中海の両方の影響を受けるらしい。

しかし、カオールを流れるロト(Lot)川は、ボルドーで大西洋にそそぐジロンド川の2つの支流のうち、南側に分かれるガロンヌ川のそのまた支流である。

■ 強烈に蛇行するロト川

図はカオールAOCの公式サイトである。中央にうねうねとした水色の線が見えるのがロト川。蛇行しながらゆっくりと流れているようだ。そのおかげで、ロトの谷には水蒸気が放出されて、夜間のぶどうの熟成に貢献しているらしい。元来、ボルドーよりも降水量が少ないとはいえ、この水蒸気が調整役を果たしているという。

■ マルベックと黒ワイン

ここで栽培されるマルベックは非常にタンニンが豊富で発色が良く、そこへもってボルドーよりも乾燥した気候で収穫期に暑くて乾燥した風が吹き、果汁が凝縮された実が収穫できるから、濃厚なワインができる。Vin Noirと呼ばれるほど濃いということだ。

カオールがAOCとして認められたのは1971年である。実はこの地では2000年前からローマ人がやってきてワイン造りを始めたといい、フランスの貴族であったアンジュー伯アンリが1154年にイングランド王になる頃には現在のイギリスへカオールのワインが輸出され、大変人気があったらしい。しかし、フィロキセラ禍でほぼ全滅し、再びマルベックのぶどう園が回復してAOCを取得したのが1971年だそうだ。

■ マルベックによる差異化

アルザスのワインや、IGP以外のフランス・ワインにはぶどう品種が表示されないのが一般的だった。しかし、現在のカオールのAOPワインにはぶどう品種である「Malbec」の文字が表記されている。

カオールはマルベックに誇りを持ち、近くのボルドーに対する差異化という意味でもいち早くぶどう品種をラベルに表示し始めたという。そして法律が後追いする形で、2012年からAOPワインに品種の表記が認められるようになったそうだ(出典:Le Goût des cépage)。

単にリーズナブルだからとカオールを飲むのではなく、カオールを飲むという事は、マルベックを飲むということだと思いつつ、歴史や蛇行する川に思いを巡らせながら飲んでいきたいと思う。




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