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WISTORY Master's Voice/「アンリ・ジャイエのワイン造り」を読んで WISTORY wine database INDEX

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「アンリ・ジャイエのワイン造り」を読んで

2012-05-22

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日本では2005年に訳本が出版された。以前から気になってはいたが読む機会に恵まれなかった本だ。
もう余りにも書きたい感想が沢山あり過ぎて、何から書いたらいいか迷ってしまう。

■ 市場原理に基づく値付けが可能にしたこだわりのワイン造り

2005年(実際にインタビューが行われたのは、きっと2003年前後だろう)という時代は微妙だ。あらゆるものがグローバル化する中で、合理化・効率化が急スピードで進むまっただ中にあったはずだ。

手摘みで収穫し、不適格な房は捨て、傷つかないように少量しか入らない箱で運び、発酵は自然に任せ、新樽100%で熟成したワインは飲み頃になるまで年月を要する。どれを取っても非効率なアンリのワイン造りは、昨今の経済原理や経営学から見れば時代に逆行している。

もしワインが、品質や伝説?や格付けによってプレミアム価格で取引される種類の商品でなかったら、アンリのようなワイン造りは許されないはず。そう考えると、芸術的なワインなら高価格でも買ってくれた顧客と、それを後押しした数々の伝統文化に感謝せねばならないだろう。だからこそ、現在も大枚はたいていいワインにお金を投じる人々がいるのだから。

■ 点数には反対のアンリだが点数に支えられているのもアンリ?

ワインを点数で評価することに断固反対の意思を示すアンリ。ひとつには、ワインとの出会いは一期一会であり、同じ条件で出会う機会なんてないからであり、次に人間の感覚がそれほど正確ではないからであり、3つめには評論家たちのテイスティングの仕方が十分にワインを味わえる条件にないからである。なるほど、その通り、彼の主張は正しいと思う。

しかし、評論家の採点や彼らによる新しい注目ワインの発見と情報発信は、手間暇かけてワイン造りをできる可能性を与えてくれていることも確かである。まあ、もちろん、評論家たちが高評価を与えるワインを小手先で造らせるという副作用もあるんだけれど・・・。アンリはその副作用の方を恐れている。

今回はこの辺にしておいて、また回をあらためて感想を書くことにします。では!



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