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管理人コラム

日記デザイン

糖度計を買ってみた

CATEGORY:ワインの科学

2017-03-21

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甘いの酸っぱいの言っても、人間の舌なんていい加減なもの。ということで、糖度計を買ってみた。amazonで2000円台で買える。ちなみに酸度を計るにはそんな安いツールは無いようだ。

屈折率から糖度を割り出す仕組みで、よくテレビなどで、トマトや果物の甘さを農家の人がこれを使って示したりしているので見た事のある人は多いはず。

プレパラートとなっているガラス面にスポイドで1~2滴ワインをたらして蓋をし、レンズをのぞいたら目盛が見えて、そこに示される仕組みだ。

今まで4種類ほどのワインで試してみたら、低いもので7度、髙いもので8.5度だった。自分の舌で感じるのと比べると、7度と8度は明らかに違う。でも8度と8.5度の違いはわからなかった。

ついでにある日食べたグレープフルーツも試してみたら、それはかなり甘いと感じたのだけれど、12度だった。

味を客観化するという意味で、1本持っておいてもいいのでは?


日記デザイン

ワイン造りは複雑系

CATEGORY:ワインの科学

2016-10-24

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科学的なアプローチとして、まずは単純化するところから始めるのが常道です。

例えばAという畑とBという畑で出来るワインの出来がかなり違うとしましょう。仮にAの方が数段おいしくて、プレミアム価格がつくといった場合です。この原因がテロワールの差なのか、醸造段階の差なのか、はたまた同じぶどう品種でも微妙な遺伝子の差なのか???

今ワインにかかわる科学者たちは、まずは単純化して美味しいワインとそうでないワインが発生するメカニズムを解明しようと試みている段階のようです。この事も『新しいワインの科学』に沢山登場します。

A・Bの畑で、全く同じ品種のぶどうを育て、全く同じやり方で醸造してみて比較する。つまり畑の条件だけを変えるという単純化をするわけです。ただもしそうしたとしても、2つの畑の違いの要素はきっと1種類や2種類では済まないでしょう。平地か斜面か? 斜面の角度は? 地質は? その他いろいろです。

醸造方法の方は、タンクごと(樽ごと)に条件を変えてやってみるというのが比較的容易にできますが、ぶどう栽培の方はそう簡単には行きませんよね。そんな訳で、醸造方法については具体的な新兵器や技術がどんどん開発され、結果世界中のワインのクオリティが上昇してきているように感じられます。

ぶどう栽培の方は一筋縄では行かないですね。ぶどうの木が育つまでに何年もかかるし、1年に1回しか醸造できないですからね。テロワールの謎がなかなかクリアにならないのもそのせいです。私は単純に地質×気候の違いでワインの質が変わる(ぶどうの成分が変わる)のだと思って、以前、ぶどうと土壌の本を読んだのですが、その本は地質学的であっても、化学的な視点がなかったため、あああの地域はそういう地質なんだねということが分かっただけでした。

複雑だからこそ薀蓄(うんちく)を楽しめるわけだし、ワインワインの個性があるから、飲み比べて楽しいわけです。マーケットの趨勢としてどうも人気ブランドの真似をする傾向があるじゃないですか。皆がシャトー・ペトリュスを真似てしまったら、楽しみが無くなってしまいます。

もしかしたらワインの複雑式は解かれない方がいいかも知れません。

(図を見て式が分かる人はえらい! ちょっとだけ複雑な式でできたグラフです)


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異なる味の世界

CATEGORY:ワインの科学

2016-10-21

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『新しいワインの科学』の中で興味深かった要素について書いてみたいと思います。

私が日ごろから疑問に思っていたことについて、この本は沢山の情報を提供してくれました。その一つが、「人によって味の感じ方に個人差があるのではないか? それは身体的に遺伝等によって生じるものなのか? 経験によって生じる物なのか?」という疑問です。

この本ではワインのテイスティングや味や香りの感じ方について、様々な角度から解説しています。その中の一つに、プロピルチオウラシルという苦味成分に対する感受性の話があります。

この苦味に対する感受性で、人間は3つのグループに分かれるのだそうです。25%はこの苦味を感じないグループ、50%が適度に感じるグループ、残りの25%は敏感に感じるグループであることが分かっているそうです。とすれば、ある種の苦みを含む食品を口に入れたとき、トータルでの味(苦味以外の甘み・酸味などのミックス)の感じ方は違ってくるはず。そんな風に異なる味の世界を持つ消費者を対象に食べ物を売らないといけないわけですから、より多くの人が美味しいと感じる商品を作るのは大変難しいということになります。

一般人の日常生活にてらしてみると、私が私を含めて4人の友達とお酒を飲みに行ったとします。これが仮にサンプルのランダム抽出に相当するとしたら、4人で同じものを食べた時、2人は美味しいねと言い、1人は苦いねといい、もう一人は何処が苦いの?と言う・・・ってことですから、全員が満足する味を望むのが無理ということになります。

まあ、味は苦味だけではないので、そんなに単純な話ではありません。舌で感じる味覚の他に、香り/においの要素も加わってくるのですから、ワインの味わいに客観的な優劣をつけることは不可能ということです。

しかも人と言うのは舌や鼻で純粋に感じた情報のみに頼って味を判断しているワケではないとも、この本に書いてありました。色だとか、値段だとか、そうしたモノの影響すら受けるのだそうです。例えば同じワインをグラスに入れて、それぞれ異なる価格を付けると、人は価格の高い方のワインを好むという結果が出たそうです。また、白ワインに赤い色を付けて飲んでもらい、感想を言葉にしてもらうと、日常赤ワインの感想を言う時によく使う言葉を使って言葉に表す傾向が出たとのことです。

詳しくは是非この本を買って読んでください。


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続・定義されていないminéralitéという味

CATEGORY:ワインの科学

2016-10-14

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以前、「定義されていないminéralitéという味」というタイトルでコラムを書いた。1年くらい前だと思っていたら、何と2013年11月だったから、既に3年が経過している。

この間、私はワインに科学的にアプローチした本を探していて、数日前に中を見ずにネットで注文したフランス語の本が到着して驚いた。何と数回コピーしたであろう古い講演録のようなものだったのだ。これでは古すぎる、何とかしなくてはと探して見つけたのが『新しいワインの科学』ジェイミー・グッド著である。

この本にミネラル感について書いてあるページがあった。


■ やはり定義されていないminéralité

著者曰く、科学者はミネラル感という表現を嫌うのだそうだ。それはミネラル(無機物)と関係が無いからだという。さらに、何かの成分が存在するゆえの味というよりは、引き算の結果得られる味を表現しているのではないかというのが一つの見解である。

果実味や甘みが人の味覚に対してアタックして来ない。なるほど、ミネラル感という表現を使う対象のワインはいわゆる果実味や甘み、酸味が乏しい。「果実味(フルーティ)」という表現も誤解を招きやすいなあ。

もう一つの見解は、ミネラルウォーターでカルシウムやマグネシウムが多く含まれたものに感じるような文字通りのミネラルを感じた時にこの言葉を使うというもの。こっちは分かりやすい。

しかし、専門家たちの意見はまちまちで、業界で明確に定義されたものはなく、ワインに含まれる成分との関係性について十分な研究結果も出ていないそうだ。


■ 結局研究不足としか言いようがない

果実味、甘み、酸味が少ないワインがあるとしよう。それって一つ間違えば薄ーいワインで下等品ということになってしまうのに、それでも尚且つ美味しいと感じるのは「何か」があるからに他ならないのに、その「何か」がまだ分からないという事は、研究不足に他ならない。

以前も書いたように、ミネラル感という価値観がボルドーのものならば、きっと既に研究が進んで、正体も分かっていたに違いない・・・と私は感じる。


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ワインのフレーバー化学

CATEGORY:ワインの科学

2016-05-10

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ワインについて化学的にアプローチした本を読みたいと思い、ずっと探している。以前一冊見つけてフランスに発注をかけたら、品切れで再版の予定もないとのこと。ネット上で論文的なものを探したりしているが、語学の壁があって…。一つ見つけたものは“Aroma-Optimierung bei Sauvignon blanc”という表題で、ドイツ語だったので読みかけて断念した。

今回ネット上で発見したのは、アカデミー・デュ・ヴァンのコラムで、「創立20周年記念連続セミナー 第9回 富永敬俊氏『フレイヴァー・ケミストリーがもたらすワイン造りの革命』」である。

2008年の講演なので随分古いが、当時でもまだワインのフレーバーについての化学的研究は入口のレベルで、この中でもソーヴィニヨン・ブランに関する研究が最も進んでいると書いてあった。上記のドイツ語のもSBである。

相当難しい話なので、詳しくは講演録のサイトをお読みいただきたい。

興味のある点をピックアップしてみよう。


■ 5つの香り成分

講演では次の5つの香り成分が紹介されていた。
 ① 3-メルカプトヘキサノール(3MH) グレープフルーツ
 ② 3-メルカプトヘキシルアセテート(3MHA) パッションフルーツ
 ③ メトキシピラジン(MP) 青ピーマン(IBMP)
 ④ フュランメタンチオール(2FM) 焙煎コーヒー
 ⑤ ヴィニルガイアルコール(VG) クローヴ(スモーキー)

よくグレープフルーツのような…と形容するのは①の成分が本当に含まれているのだそうで、パッションフルーツもしかり…という寸法である。


■ アロマティック品種と非アロマティック品種

ぶどう品種には果汁自体がすでに香りを持っているアロマティック品種(例えばミュスカ)と、果汁の香りとワインの香りが異なる非アロマティック品種(例えばSBとかセミヨン)がある。
そして非アロマティック品種の果汁には発酵段階で香りに変化する「前駆体物質=プレカーサー」が含まれていることがわかったそうです。


■ プレカーサーを豊富にして香りのよいワインを造る

プレカーサーが特定できたら、その濃度が高くなったタイミングで収穫すれば、香りの豊かなワインができるというワケ。実際には複数あるプレカーサーがそれぞれ異なる動きをするので、数日に1回濃度を測定してタイミングを計る必要があるようだ。

また、栄養分と渇水のストレスもプレカーサーの量に影響するらしい。(酸の量にも影響)

いろいろあるぶどう品種の独特の香りのプレカーサーは、2008年の時点ではまだ十分に特定されていない。なので、自由にハンドリングするには、まだ時間がかかりそう。


■ 経験やコンサルの見解と科学的検証の一致性は?

実は経験で言われていたことが必ずしも当たっているとは限らないようだ。もちろん、消費者の好みの変化などもあるから、正解は一つではない。ただ、これらの研究が進めば、味はいいけど香りが乏しいからちょっとね!というワインを減らすことができそうだ。

実は、一つ前に書いたシュナン・ブランの香りについてもっと知りたかったのだが、それについてはまだ良い文献を見つけられていない。


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(ワインの科学)



2017-03-21
糖度計を買ってみた


2016-10-24
ワイン造りは複雑系


2016-10-21
異なる味の世界


2016-10-14
続・定義されていないminéralitéという味


2016-05-10
ワインのフレーバー化学


2014-10-29
チョーク(craie)ってどんな石?


2013-11-21
土壌とワインの謎


2013-11-11
定義されていないminéralitéという味


2014-06-12
ワインと土壌の謎2 silex



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